|
依頼放火事件 その4
この物語はフィクションである。
『火付け役』
男性を口説く手法にたけた洋子はとある男性Aと恋仲になり、その男性Aに当該建物の火災保険の詐取を相談し、その男性に放火させる事を依頼した。 洋子には前述の様な知識(着火方法などの知識)は無く、ましてや 天井点検口を開ける手法も知らない。
自分の手を汚さない事を経験値として生きて来た人生である。 美人でも年増の女性と恋仲になった男性Aも男女交際は百戦錬磨であり 男性Aも決して自分の手を汚さない男であった。
そして『火付け役』に依頼するのである。
『火付け役』は昭和の時代から存在するが保険会社の敵である。
彼らは足がつかない様に 洋子→男性A→元締めB→下請けC→実行犯Dという方法で放火する。
すなわち洋子,男性Aと実行犯Dは面識が無い。
洋子とAは堂々とアリバイをつくれば問題ない。
その放火の手法、火元,出火場所は不知となる。
元請けは守秘義務を守り、依頼されたことのみ実行を指示する。
そしてこの人物も自分の手を汚さない。
仮にDが放火犯として捕まってもDは元請けBを知らない。
洋子もAも面識すらない。
昭和62年~平成1年くらいまで、地上げ屋が多く存在し、立ち退きに応じない家主や入居者を追い出す為に実行犯、ここに述べる『火付け役』は存在した。
まれに警察に検挙されても『寒かったので火を着けて町を温かくしたかった』等の理解不能な供述が多かった。詭弁であると思われるが…
近年問題となっている保険金請求斡旋業者(特定業者)と異なり、
建物を修復不能な状態にする『火付け役』は保険金が支払われた後に 報酬を請求するのでは無い。
事件が発生前に前金で洋子が払うこととなる。
相場は保険金額の2割と聞く。10,000,000円の保険金詐取をしようとするなら2,000,000円の前金支払いである。
金が無いから保険金詐取をするのであって、洋子は2,000,000円を捻出出来ない。
そう、元請けBが洋子に高金利で貸し付けるのである。
保険金が支払われれば返せるというシステムである。
…続く 令和7年11月11日
|