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  依頼放火事件 その1
依頼放火事件 その1

この物語はフィクションです。

 ある夏の夜、住宅が火災になった。

 鑑定人的には専用住宅の焼損事故である。

 町から外れた郊外の一軒家であり、週末の別荘的な建物であった。
お金持ちの所有であり、その契約者は全く問題無かったが
出火原因が不明であった。

 いわゆる不審火である。

 しかも夏火事である。

 鑑定人がよく夏火事の議論をするが、湿度が高く、暖房用のストーブも
使用しない季節の火災は不審火が多い。

火床はどこなのか?
そして何故延焼したのか?

 出火原因が一般社会通念を逸脱しないと発生し得ない夏火事である。

 保険契約者は長崎英雄(仮名55歳 蒲鉾工場経営)であるが
被保険者は佐賀洋子(仮名51歳 無職)であった。
 
 業界に入り、保険の用語集で学習した『他人の為の契約』である。
 
 法務局にて登記簿謄本を入手すると3カ月前に所有権が洋子になっていた。
 
 契約上の問題はなく保険金支払い可能であるが、何分、
出火原因が不明である。

 鑑定人が現場調査し、リサーチ会社が調査し、やはり答えは内部からの
不審火である。
 
 しかも終末や月末以外は誰も来ないという平日は留守状態の住宅であり、木曜日の火災である。

 漏電に因る出火も考慮したが、短絡痕が見当たらない。

 警察、消防署も『不明火』という結論である。
 
 そう、これは内部からの放火であると推定された。

 人身事故も無く、刑事事件でもない民事事件につき公の機関はタッチ出来ない。
 
 助燃剤の痕跡を発見した鑑定人はその事実を保険会社やリサーチ会社には報告しなかった。
 
 近年、保険会社は鑑定人は損害鑑定のみやっとけの指示が多いからである。
 出火元からの延焼損害についての認定には責任があるが、
出火原因調査は鑑定人は専門外とのご見解である。
 
 適正払いという言葉は保険会社内部の話であり、鑑定人の正義感は無視されるこの時代である。
 
 何だか寂しい時代である。
 
 鑑定人はパーツクリーナーと百円ライターと混合ガソリンに因る人為的な放火であったと考えていたが、鑑定人の意見等無視されるから沈黙しかなかった。

令和7年11月9日 その2に続く


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