|
内装屋の腰袋
近年、内装職人の腰袋はオシャレな物が多い。
弊社の付き合いのある、所謂クロス屋はその年齢(68歳)のせいか 昭和時代の腰袋である。
その使い込まれた素材は鹿革である。
剣道の竹刀の柄の部分(手で持つところ)が鹿革である。 因みに『皮と革の違い』は『皮』は牛,馬,鹿等の動物の表皮のことで あり、皮を鞣し加工(なめしかこう)したものを「革」という。
鞣し加工とは動物の皮から脂肪や体毛を取り除く加工である。 行きつけの武道屋で居合刀を購入した際に竹刀の柄の素材である鹿革の 端材で作った小銭入れをもらった。
はっきり言って臭い。 剣道をしていた時から鹿革は臭いと思っていたが、当該財布をファブリーズ漬けにしてなんとか使用出来る様にした。 内装屋(内装工,長崎ではクロス屋と呼称,以下職人Aとする)はクロスを貼る際にカッターナイフを使用する。 そしてすぐ切れ味が落ちるのかその革袋に手を突っ込み、刃先をポキンと折りすぐ様次の作業に移る。 カッターナイフの刃は消耗品なのである。
職人A曰く 『昭和の時代は砥石で研いだ出刃(表具用の出刃包丁)を使っていたが、現場で切れ味が落ちた時は替えの出刃で切っていた。』 …まるで二丁拳銃状態である。
『そしたらばい、カッターナイフはよう切れるし、ポキンと折ればすぐ新品の刃になって1秒ですぐ作業に使える。 CF(クッションフロア)の分厚いヤツだけはコーナーの納まりに未だに出刃ば使うばってんね~』
ローコスト住宅では左官工事がほぼ無い為(高価で職人の技術のジュラク壁等の 塗り壁の注文が少ない)、聚楽風のクロスを施工する場合が多々ある。
じゃあ、仕事が増えて儲かるだろうと発言すると、
職人A曰く『単価がね~。』
単価が安く叩かれているのであろう。
鑑定人はカッターナイフの刃である。ポキン,ポキンと折って次の新品の刃で作業をさせる時代である。
小生は昭和時代の時代遅れの出刃であろう。
言いたいことを比喩的に…
令和7年11月5日
|