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  天川漆喰(アマカワシックイ) 文化財の事故の復旧
文化財の事故の修復工事 

天川漆喰(アマカワシックイ)

 長崎市で解体工事をしている最中に江戸時代建立の文化財建物の
煉瓦塀を旋回中の重機のブームが誤って破損させた。
 建物自体は江戸時代であるが、煉瓦塀は明らかに明治時代の素敵な
施工である。
 
 被害者:○○市教育委員会 文化財課から指示を受ける。

 煉瓦塀の積直しに伴う目地材本来仕様は『アマカワ』及び『砂漆喰』
であるが、当該施工においては付着力が期待できず、施工管理も困難で
ある為モルタル系の目地材(日本化成NSレンガメジ)に因る施工とされ、
色彩は砂漆喰施工を想定して白色系を採用し色粉等による調色等の必要がある。
 
 笠木上端の芯材瓦及びアマカワについては構造上の問題も無く意匠上形態を整える必要がある為旧来の方法にて現状に復する必要がある。

…と役所の通達である。

 愛想のかけらも無い20代の文化財課の担当者は現場立会調査中に
小生に命令した。

 役人は一般庶民に敬語という言葉は存在せず命令口調であった。
  
 
 保険契約者が知り合いの復旧業者を立てたがあっさり却下。

 そして役所の指定業者への随意契約での復旧工事となる。

『○○に依頼しなさい。誰でも出来る工事じゃないぞ。
文化財ばい。たいがいしとけよ。』…笑いながら支持する役人。

加害者(解体業者)が怒る。
『言い方があるやろう。こっちが悪くて謝罪してるやろ!』

…うーん。どっちもどっちだなぁ。
 

 本件は熟練の左官や煉瓦積み職人で復旧できるかというと
そうでは無い。
 文化財の修復工事に携わった経験のある職人しか復旧出来ない。
そう、明治の工法、明治時代の材料での復旧なのである。


 現在アマカワなど使用する現場は無い。

 役所の言うアマカワとは天川漆喰の事であり元来、壁塗りの素材である。
 煉瓦の目地などにも用いられる赤褐色のそれである。
五島列島では天川漆喰は土間の叩きにも用いた。

 所謂叩き部分である。
 
 大正時代以降の叩きはコンクリートである。

※追記
天川(アマカワ)とは,マカオの発音が変化したものらしい。
『ばってん』…But thenに似ている。
カステラと同様,ポルトガル人が煉瓦と一緒にマカオから持ってきたのが始まりらしい。

 マカオは旧ポルトガル領であり、植民地であったが、元来中国であり、中国の現地人の材料をポルトガル人が長崎市に持ち込んだものと考える。
 
 カステラは街中にいくらでも販売されているが、天川漆喰はどこの建材店も販売していない。
モータースポーツで有名なマカオは煉瓦の目地でも有名である。

令和7年7月1日 


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