歪んだカーポート その1 雪災で住宅の大型のカーポートが雪の重量で曲損した。 もちろん九州では無く、関東に応援に赴いた時の経験である。
屋根のアクリル板は割れ、アルミ製の母屋は曲がり、垂木と一体式の柱が曲損した。 アルミ合金につき板金塗装不可能で総取替えとなる。
ところが、明らかに車両の衝突痕が有り、事情聴取したところ、 3年前に車をぶつけて凹ませたとの由。
当時、保険金請求したら、自分で壊した分は対象外と言われ、凹み、曲損したままで3年放っておいた。 そしたら、豪雪で潰れたから保険で新品になるしラッキーとのたまう。 豪雪に因る圧損は間違いないがこの事故(雪災)で保険金が支払われると事故発生直前の状態より良くなってしまう。
損害保険の使命は事故発生直前の状態に回復させることである。 保険会社の今年配属の新人社員研修の為、同行させてくれとの依頼で あったから、新人査定パーソンを引受け現場に立会った事案であった。 大型カーポートは全損で100万円の請求である。 見積自体は正しかったが、そもそも曲がって変形して歪んでいたカーポートが新品になるのはおかしい為、いかに新価払特約でも
1,000,000円×残価70%=700,000円という考え方を説明した。 1時間程議論し、700,000円+臨時費用+残取費用で支払いの方向性は まとまりつつあった。 正確に決まったらまた保険会社から連絡する事を約束してその場 を去った。
対策本部でドラフトを作成して提出、その日の夕方、本店からの応援社員 (課長代理)から苦情発生。
He said『事故前から変形していたカーポートであっても、雪災で潰れた場合は新価損害額を全額払う。だから本件は1,000,000円+臨費+残取である。 新人査定社員に変な知識を植え込まないで欲しい。 ワタナベさんの考え方は間違い。レポートを書き直しなさい。』
…おいおい、小生よりも一回り以上年下に命令されちゃった。 そして小生はハマベである。名前間違えないでね~
損害保険のてん補内容の議論で怒られちゃった… He said agin『新人に間違った指導をするな!こっちは応援に来て 真面目に査定やってんだ!』
査定の新人育成のFeeは貰ってないから暴言に聞こえたが辛抱していた。
事故受付件数(6,000件程)が多すぎていらいらしていたのであろう。 ある意味真面目な御仁かもしれない。 …でもきっと出世は無いだろうなぁ~という印象であった。…続く
令和7年6月21日
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